2023年に公開された映画『怪物』ですが、作中は心苦し苦なる様なシーンが多く目を背けたくなった視聴者も多いはず。
中でも作中に出てくる「お前の脳は豚の脳だから、なんとか治して人間の脳にしてやる。」と言う強烈な台詞に衝撃を受けますよね。
そこで気になるシーンが、麦野湊くんが母親に「豚の脳なんだよね」と“先生に言われたかのように”言い放つシーン。
何度巻き戻して見ても先生(瑛太)が「豚の脳」と言った様なシーンは見当たりませんでしたが、一体どこで言われたのでしょう?
ということで今回は、映画『怪物』で先生が湊に「豚の脳」と言ったのはどのシーンか考察しました。
麦野湊の『豚の脳』発言に疑問の声

いつもと違う湊の様子に心配する母親(安藤サクラ)。
そこで湊は母親に対してこのように言います。
「豚の脳なんだよね…。湊の脳は豚の脳と入れ替わってるんだよ!」
この発言に母親の安藤サクラは「先生(瑛太)に言われたんだ」と思い込んでしまうわけですが…。
ここで視聴者は「瑛太そんなこと言ってたっけ?」と疑問に思ったはずです。
実際に湊が先生に「豚の脳」と言われたシーンはあるのでしょうか?
次の項目で見てみましょう!
【怪物】先生(瑛太)が豚の脳と湊に言ったのはどのシーンか考察

結論から言うと先生が(瑛太)湊に「豚の脳」と言ったシーンは存在しません。
先生が麦野湊に対してやったことは、
体操着袋等を投げた時の腕が湊の顔に当たって鼻血を出させてしまった
それだけなんです。

それではなぜ湊は“豚の脳と言われた”と嘘をついたのでしょうか?
考察して見たところ、このような理由が考えられました。
- 依里の苦しみを代弁したかった
- 依里を本当は守りたいという気持ち
- 依里の秘密を隠したかったから
- 本当はカミングアウトしたかった
一つずつ詳しく見ていきましょう。
依里の苦しみを代弁
実際に父親に「お前は豚の脳だ。」と言われ続けてきた星川依里くん。
どういう意味なのか分からずとも小学五年生にもなれば「悪口」ということは分かっているでしょう。
父親から「お前は怪物」「豚の脳だ」等と言われてる姿を見て親子関係が歪であることはわかりますよね。
また、依里くんの父親が暴力的であることも湊は知ってます。
そんな依里くんの苦しみを誰かに代弁したかったのではないかと考えられるのではないでしょうか?
依里を守りたかった
湊くんは依里くんに対して特別な感情を抱いていました。
家庭環境が劣悪な依里くんを小学生ながらに、陰ながら守りたいという気持ちがあったと思います。

しかし小学生なんて経験値もまだまだ浅いわけで、「守る」という手段が分からないはず。
「依里は豚の脳なんかじゃない…!」
と思っていたはずですが、「依里がお父さんに豚の脳って言われてるんだ」と言うことも依里を傷つけてしまうと思ったのかもしれません。
もしくは「母親も依里を悪く思うかもしれない」と疑心暗鬼になっていた可能性があります。
依里の秘密を隠したかったから
湊くん自身も依里くんが周りと少し違うと感じていたことは間違いありません。
実際に依里くんに対する情報は作中では多く読み取れませんが、
- 父親に豚の脳と言われる
- 幼い発言が目立つ
- 文字を書くときに鏡文字になってしまう
- 興味関心が独特
この辺りの情報から
星川依里は軽度の発達障害(ディスクレシア)を患っていた?
と予想することもできそうです。

このことがいつか母親にも知られてしまうのではないか、ということから
“自分が豚の脳と言われた”と嘘をつくことで身代わりになって、依里くんを守りたかったのかもしれません。
母親に同性愛をカミングアウトしたかった
依里くんに対する感情が友情と違うものであると薄々気付いていたと仮定しましょう。
自分の中で感情の整理がつかず、ましてや依里くんのいう「豚の脳」と言う言葉に“他と違う”と言う意味が込められたとすると
豚の脳=普通じゃない=自分も“豚の脳”?
と湊くんが捉えていた可能性も考えられます。
“自分が普通じゃないかもしれない”という苦しみの中でもがいていたとしたら、このペットボトルを何度も握るシーンからはもどかしさを感じます。
母親(安藤サクラ)に何か伝えたいけど上手く伝えられないというジレンマを感じるシーン。

母親は以前から湊くんに対して「“普通に”幸せになってほしい」と話していました。
その母親が期待してる“普通”からズレているのではないか?というプレッシャーが湊くんの中に存在していたのではないでしょうか?
個人的には「本当はカミングアウトしたかった」という気持ちをベースにいろんな思いが混ざっているのではないかと思いました。
まとめ
今回は映画『怪物』より先生(瑛太)が豚の脳と湊くんに言ったのはどのシーンか考察していきました。
結論から言うと、実際に先生が湊くんに「豚の脳」と言ったシーンは存在しません。
しかし湊くんがこの様な嘘をついたのは、深い理由が隠されていましたね。
この様な考察を踏まえてもう一度作品を見返してみると、新しいことが発見できるかもしれません!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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